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UTSに見る新しいテニスの形|UTSのルールを徹底解説

投稿日:2020年7月30日  更新日:

Credit: UTS

突然ですが、皆さん、「UTS」って、ご存じですか?

UTSとは、Ultimate Tennis Showdownの略です。これを日本語に直訳すると、「究極のテニス対決」です。

このUTS独自のルールがとても面白く、現在、テニス界が抱える問題を解決するヒントにもなるものですので、皆さんにもご紹介したいと思います。

UTSとは?

UTSの公式ウェブサイトは、こちら
https://utslive.tv/
※2020年7月現在、サイトが重たく、表示されるまでに時間がかかります。

UTSとは、セレナ・ウィリアムズのコーチを務めるパトリック・ムラトグルー氏が、2020年に創設した新しいテニスリーグ(大会)です。

UTSは、ATPツアーやWTAツアーとは関係のない、独立したリーグです。ですから、UTSの試合で勝ったからといって、ATPポイントやWTAポイントが獲得できるわけではなく、当然、ATPランキングやWTAランキングとも無関係です。

しかし、UTSの試合は、決してエキジビジョンマッチではなく、賞金とプライドをかけた真剣勝負です。

現在、UTSでは、会場で直接試合を観る観客はなく、UTSの試合は、動画で世界中に配信されます。

Credit: UTS

画期的なUTSの試合形式

なぜ私が、このUTSに注目しているかと言いますと、それは、UTSの試合形式が、従来のテニスとは大きく異なる画期的なものであり、これからのテニスを大きく変える可能性があるものだからです。

テニスが抱える問題

皆さんは、日本でのテニス人気が、なかなか上昇しない理由は何だと思いますか?

私は、テニスの試合が地上波放送されることが少なく、日本国民がテレビでテニスの試合を見ることのできる機会が極めて限定されていることが、その理由の1つだと考えています。
インターネットが普及し、YouTubeなどの勢力が拡大している現代においても、やはりテレビの影響力は絶大です。

では、テニスの試合が地上波放送されない理由は何でしょうか?

その最大の理由は、テニスの試合時間が長すぎるというところにあると思います。試合時間が長いと、テレビ局としても、それだけの番組の尺を用意することが難しくなります。
テニスの試合は、3セットマッチでは3~4時間、5セットマッチでは5~6時間続くことも珍しくはありません。
卓球の試合であれば、通常は1時間もかかりませんし、バドミントンの試合も1時間~1時間半程度ですから、テニスの試合は、ライバル関係にある他のスポーツよりも圧倒的に試合時間が長いと言えます。

これだけ試合時間が長いと、視聴者としても、「ちょっと時間ができたから、テニスの試合でも見よっかな!」とは、なりませんよね。
これでは、仮にテレビ局が3~4時間の尺を用意できたとしても、視聴率は期待できません。

このような「試合時間の長さ」が、テニス界が抱える最大の問題の1つなのです。

UTSが示した解決方法

前置きが長くなりましたが、UTSの試合は、この問題を見事に解決しています。

すなわち、UTSの試合は、1セットが10分間と決められています。ただし、正確には、「セット」ではなく、「クオーター(quarter)」と呼ばれています。
10分の間に、より多くのポイントを取ったプレーヤーが、そのクオーターを取るということになります。ポイントの数は、従来のように「15、30、40・・・」と数えるのではなく、タイブレークのように「1、2、3・・・」と数えていきます。

このような制限時間を設けることによって、1試合が長くても1時間程度で終わるように計算されているのです。
1時間というのは、適度な試合時間だと思います。また、試合終了時間が予測できることで、試合のスケジュールを組みやすくなり、試合をライブで放送・配信しやすくなります。

ジュニアの試合では、「15分間マッチ」というように制限時間が設けられたものがありますが、プロの試合で、このような制限時間を設けることは斬新だと思います。

UTSのルール

ここで、UTS独自のルールを、まとめて解説しておきます。

1.クオーター制

UTSの試合では、「セット」や「ゲーム」という概念はなく、先に3つの「クオーター」を取ったプレーヤーが、その試合の勝者となります。

各クオーターは、10分経過時に、より多くのポイントを取っていたプレーヤーが勝ち取ることになります。
なお、サーブは、両プレーヤーが2ポイントずつ、交互に打ちます。1ポイント目はデュースサイドから、2ポイント目はアドバンテージサイドから打ちます。

もし、10分経過時に、両プレーヤーの獲得したポイントが同じだった場合は、最後にディサイディングポイント(deciding point)をプレーし、そのポイントを取ったプレーヤーが、そのクオーターを勝ち取ります。

また、もし、第4クオーターまで終わって、両プレーヤーのクオーターの獲得数が「2-2」で並んだ場合、「サドンデス(sudden death)」形式の第5クオーターに突入します。
この「サドンデス」形式のクオーターは、2ポイント続けて取ったプレーヤーがこれを獲得し、「3-2」で、その試合の勝者となります。
なお、「サドンデス」中は、サーブは、両プレーヤーが1ポイントずつ交互に打ちます。
この「サドンデス」形式は、相手に1ポイント取られた時点で、直ちにマッチポイントを握られるということになりますので、非常にスリリングです。

🚨 You have 5 seconds to pick ONE player (it can be anyone on tour) to save your life in sudden death 🚨

UTS - Ultimate Tennis Showdownさんの投稿 2020年7月10日金曜日

2.15秒ルール

UTSの試合では、ポイント間が15秒以内と定められています。

現在、ATPツアーやWTAツアーでは、ポイント間は25秒と定められていますので、それよりも、かなり短い時間ということになります。

これは、試合の展開をスピーディーにするために設けられたルールです。

これにより、テンポよく試合が進むので、視聴者にとっては良いルールかもしれませんが、プレーヤーとしては、すぐに次のポイントを始めなければなりませんので、息を整える時間が短く、体力的にキツイと思います(^^;

3.UTSカード

UTSにおける最大の特徴の1つとなっているのが、このUTSカードです。

UTSカードとは、それを使用することにより、次の2ポイントにおいて、自分に有利な特殊な効果を発生させることができるカードです。

UTSカードには、次のような7種類があります。
※UTS開幕当初は、下の画像にある4種類だけでしたが、その後、3種類のカードが追加されました。

Credit: UTS

カードの種類と効果

-1 SERVE
 相手は、ファーストサーブを失い、セカンドサーブからのスタートとなります。

WIN IN 3 SHOTS MAX
 相手は、サーブまたはリターンを含めて3ショット以内に得点することを強制されます(カードを使ったプレーヤーのショットは、カウントされません。)。相手が3ショット以内に得点できなければ、カードを使ったプレーヤーの得点となります。

STEAL SERVE
 相手のサーブ権を奪うことができます。したがって、このカードを使用したプレーヤーは、4ポイント続けてサーブを打つことができます。

WINNERS COUNT ×3
 ウィナーを打つと、いっきに3ポイント獲得することができます。ウィナーとは、相手が触ることのできないショットのことで、サービスエースも、これに含まれます。

+1 SERVE
 
このカードを使用したプレーヤーは、サーブを3球打つことができます。

NEXT POINT COUNTS ×2
 
このカードを使用したプレーヤーは、次のポイントを取ると、2ポイント獲得することができます。なお、この時、カードを使用したプレーヤーの相手がポイントを取ったとしても、相手は1ポイントしか獲得できません。

SERVE & VOLLEY
 
相手は、サーブ&ボレーをすることを強制されます。相手は、サーブを打った後に、ネットプレーに移行しなければ、自動的に失点します。

各プレーヤーは、各クオーターごとに、7種類のカードの中から、2つを選択して用意することができます。
プレーヤーは、どのカードを用意するか、また、どのタイミングでカードを使用するか、ということを戦略的に考えることになります。

このUTSカードにより、ドラマチックな展開も起こりえます。

4.コーチング

プレーヤーは、各クオーターに1回、30秒間のコーチングを受けることができます。

プレーヤーのコーチは、任意のタイミングでタイムアウトを取ることでき、そのタイムアウトの間に、コーチングを行うことになります。

UTS1のハイライト動画

以上のような予備知識があれば、YouTubeにアップされているUTSのハイライト動画も、楽しめると思います。

次の動画は、UTS1(2020年6月14日~7月12日に開催された第1回目のUTS)の決勝戦のハイライトです。時間がある方は、是非、見てみてください。


まず、UTSの試合は、カメラアングルが素晴らしいですね。
このカメラアングルであれば、ボールの軌道やスピードも視聴者に伝わりやすく、上空からのアングルよりも、迫力を感じることができます。

また、スコアやUTSカードの画面表示も、まるで対戦型格闘ゲームのような形になっていて、新しいです。

まとめ

これまでご紹介してきたように、UTSの試合は、従来のツアーにおけるテニスとは大きく異なるものです。

UTSは、従来のテニスが抱えている問題に対策を講じ、また、視聴者を楽しませるための様々な工夫をこらしていて、新しいエンターテインメントを生み出しています。

私は、従来の伝統的なテニスも、もちろん残していくべきだと思いますが、UTSのような新しいテニスが誕生することで、テニス界は、今後さらに発展していくと思います。
とりわけ、テニスの人気が高くない日本においては、新しいテニスファンを増やすために、新しいテニスが必要だと考えます。

ちなみ、UTSの試合は、現在は、ムラトグルー氏のテニスアカデミー(フランス)で開催されていますが、将来的には、世界各地で開催することを目指しているそうです。
UTSが、今後どのような発展を見せるのか、ということも楽しみです。

※当ブログは、UTSから、UTS関連画像の使用許可を得ています。

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