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技術解説 フォアハンドストローク

『バギーウィップ(バギーホイップ)フォアハンド』のメリットについて

投稿日:2020年6月14日  更新日:

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「テニスの王子様」の影響もあってか、日本のテニス界でも、「バギーウィップ」という言葉が広く知られるようになってきましたね。

バギーウィップフォアハンドとは、ラケットを頭の上に向かって振り抜くフォアハンドのことです。バギーウィップショットと呼ばれることもあります。

バギー「ホイップ」と表現されることもありますが、英語表記は「buggy whip」であり、バギー「ウィップ」と表現した方が、英語の発音に近くなります。

「buggy」とは、馬車のことで、「whip」とは、「むち」のことです。
つまり、buggy whip とは、馬車を走らせる人(御者)が使用する「むち」のことです。

いつからバギーウィップフォアハンドという言葉が使われるようになったのかは分かりませんが、ラケットを頭の上に振り上げる動きが、御者がむちを振り上げる動きに似ていることから、これをバギーウィップフォアハンドと呼ぶようになったと考えられます。

なお、バギーウィップフォアハンドは、海外では、「reverse forehand(リバースフォアハンド)」と呼ばれることもあります。

この記事では、このバギーウィップと呼ばれる打ち方のメリットなどについてお話ししたいと思います。

世界のトッププロのバギーウィップ

皆さん、ご存じのように、「バギーウィップといえば、ナダル!」と言われるくらい、ナダルはバギーウィップフォアハンドを多用します。と言いますか、試合中は、ほとんどのフォアハンドをバギーウィップで打っています。

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ですが、ナダルに限らず、また男女問わず、多くのトッププロが、バギーウィップを使ってプレーをしています。

このバギーウィップフォアハンドが使われたポイントを集めた動画がありますので、見てみてください⇩


日本の大坂なおみ選手も、バギーウィップを多用していますね!

バギーウィップのメリット

それでは、このバギーウィップを用いるメリットは、どこにあるのでしょうか。

私は、次の2点に集約することができると考えます。

➀打点を後ろにすることができる。
➁ボールにしっかり回転をかけながら、ボールの飛びを抑えることができる。

➀と➁のそれぞれについて、詳しく解説していきます。

➀打点を後ろにすることができる

バギーウィップでは、ラケットを下から上に向かって振り上げれば良く、ラケットをそれほど前に振る必要がありません。
そのため、通常のフォアハンドよりも、打点を後ろに取ることができます。

打点を後ろにすることができるということは、仮に、相手の打ったボールに対してラケットを振り出すタイミングが遅れたとしても(すなわち、振り遅れの状況が生じたとしても)、バギーウィップを用いることで、ちゃんとボールを返球することができるということになります。

また、打点を後ろにすることができるということは、意図的に、相手のボールを引き付けて打つことができるということです。
通常、ボールをクロスに返球する場合、ストレートや逆クロスに返球する場合よりも、打点を前にする必要があります。
バギーウィップを用いることができれば、打点を前にしなくてもクロスへ打つことできるので、ストレートまたは逆クロスに強打できるところまでボールを引き付けたとしても、そこからバギーウィップで、クロスに打つこともできるようになります。つまり、全く同じ体の向き・構えから、逆クロスから順クロスまで打ち分けることができるのです。バギーウィップができないとすると、このような打ち分けをすることは、極めて難しくなります。

➁ボールにしっかり回転をかけながら、ボールの飛びを抑えることができる

バギーウィップのスイングでは、ラケットの「下から上」への動きが大きくなるので、トップスピンをかけやすく、他方で、ボールは前に飛びにくくなります。
そのため、ボールに強いトップスピンをかけながら、ボールの飛び過ぎを抑えるということが、やりやすくなります。
このようなことができることで、ストロークのエラーが減らすことができます。

ナダルが、バギーウィップを多用するのは、この恩恵を受けるためだと考えられます。
つまり、ナダルが、ラケットを体の横に振り抜く通常のフォアハンドを打つと、もの凄いスピードのボールが飛んでいきますが、このようなショットには、当然エラー(アウトやネット)のリスクがつきまといます。このエラーのリスクを考えると、このようなショットを試合中に常に打ち続けることは現実的ではありません。
そこで、ナダルは、エラーのリスクの低いバギーウィップフォアハンドを打ち続けているのです。

また、ネット前のチャンスボールを打ち込む際にも、バギーウィップが使われることが多いですが、これも、エラーを減らすためです。
つまり、ネットの近くからボールを強打すると、アウトしやすくなりますので、アウトを防ぐために、スピン量を多めにしてボールの飛びを抑えるように打つことも有効な選択肢となります。このとき、バギーウィップを用いることで、それを実践しやすくなるということです。

さらに、バギーウィップは、アングルショット(ショートクロス)を打つ際に使われることも多いです。
アングルショットでサイドアウトを防ぐためには、トップスピンをかけながら、ボールの飛び過ぎを抑える必要がありますから、バギーウィップは、まさにアングルショットを打つのに適した打ち方といえます。

バギーウィップは、あえて練習するべきショット?

バギーウィップは、実は、昔から使われているショットです。私の知る限りでは、1980年代において、既に使われています。

それにもかかわらず、現代でも、このバギーウィップを生徒に指導して練習をさせる指導者というのは、それほど多くありません。
それは、ラケットは前に振り抜くのが正当な打ち方であって、バギーウィップのような打ち方は邪道だという見方が根強くあるためだと思われます。

しかし、前述したバギーウィップのメリットを考えると、競技としてテニスを行うのであれば、バギーウィップを習得することは必須といえるでしょう。

バギーウィップは、練習をしなくても、自然にできるようになることもあります。ただ、それは、多くの場合、体が勝手に反応して、無意識的に、そのような打ち方になっているという状態です。
それはそれで、とても良いことです。しかし、現代では、意識的にバギーウィップを繰り出すことも求められます。意識的にバギーウィップを使いこなすためには、他のショットと同様に、意識的な練習が必要であることは間違いありません。
また、日頃から練習をしておけば、そのバギーウィップが意識的なものであるか無意識的なものであるかを問わず、その精度は高いものになるはずです。

バギーウィップでは強いボールは打てない?

「バギーウィップで打つと、ボールが弱くなってしまうから、あんまり打たない方がいいんじゃない?」という意見もあるかもしれません。

確かに、ラケットを前に振り切る通常のフォアハンドに比べるとボールのスピードは出ないかもしれません。また、スピン量が多くなり過ぎてしまって、ボールが前に飛ばないということもあり得ます。

しかし、そもそもバギーウィップは、ボールのスピードを優先させたい場面で用いる技術ではありません。また、スピン量が多くなり過ぎてボールが浅くなってしまうというのは、ただのミスヒットです。そのようなミスを減らすために、練習をするのです。

バギーウィップでも、十分な威力のボールを打つことができるということは、先ほどの動画を見ても明らかだと思います。

まとめ

バギーウィップを習得することで、テニスのプレーの幅が大きく広がりますので、これを習得することは極めて重要なことだと考えています。

皆さんも、是非、意識的にバギーウィップを練習してみてください。トッププロの打ち方を観察して、その真似をしてみましょう。

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